2022年8月礼拝説教

★2022.8.28 　「神の憐れみと恵みの下に」ルカ14:7-14
★2022.8.21　「癒やされ、神の国に招かれる主」ルカ13:10-17
★2022.8.14 「神の愛と恵みの内に一つとなる」ルカ12:49-53

「神の憐れみと恵みの下に」ルカ14:7-14
2022.8.28　大宮陸孝牧師

「だれでも高ぶる者は低くされ、へりくだる者は高められる。」（ルカによる福音書14章11節)

　ルカ福音書には宴会のお話しがたくさん出てきます。当時は世の終わりの神の国（支配）は盛大な宴会にたとえられることが多かったようです。それだけ当時の人々にとって宴会というものはあこがれだったのでしょう。宴会に招かれること、例えば結婚の祝い、病気が治った祝い、家を建てた祝い、大きな名誉を受けた祝い、大成功した祝いなどの席に招かれることを光栄に感じ、深い満足を味わったようであります。

　今日の日本においては、勲章を授与されるなど、勲章をこの上なく好み、あこがれ、名誉と感じるようです。教育者、医者、政治家、社会奉仕者、学術か何かで社会に貢献した人、そうした人に勲章が与えられますが、それには等級があって、これも大抵は政治家がいちばん高い勲章を受けるようです。勳一等とか二等とか。そして社会を下の土台のところで支えている人々は最下級の勲章です。人間の評価を勲章の等級であらわし序列をつけるのは歪んだ人間観であるとわたしは思います。勲章を与える権威者に評価され序列をつけることで、人々をその権力・権威に服従させ支配して行くことになるからです。しかし、それでも人々は勲章を欲しがるのです。いろいろな名誉、社会的地位に満足した人は最後に勲章を欲しがります。勲章によって自分の権威を誇示しようとするのです。。昔の人生双六に最後の段階で勲章を頂き、夫婦そろってお伊勢参りをして上がりというのがありました。考えて見ますと、あれはそういう価値観を教え込む教材だったのだなと思います。

　そのような人間の性（さが）のようなものがこのたとえ話にも出てきます。「招待を受けた客が上席を選ぶ様子」とあります。社会的地位や権威を誇示したい、他人よりも尊敬されたいというあさましい人間の性です。その様子をご覧になったイエスは言われます。「招かれたら上席につくな、もっと身分の高い人が来て、主人から末席に行くように求められたら恥をかくから。むしろ末席につけ、そしたら主人から丁重に上席に案内されるだろうから」と、

　日本人がこれを聞くとなるほどと思うかも知れません。わたしたち日本人は謙遜をしてまず末席を選ぶものですから。しかし、ここでイエス様は、何か世渡りを上手に歩んで行くために、この世的な知恵や、処世訓を教えようとしてこんなことを言っているのではありません。これは神の救いの恵みの下に救い取られている者の生き方、あり方、居場所を教えるために言っているのです。神の救いの恵みを心から感謝をもって受け止めることを教えておられるのです。主イエスは自分を当然救われるものと思い高ぶっている者の傲慢を打ち砕かれるのです。

　そこで次のたとえが出てきます。客だけではなく、招く主人も世間体とか世間的地位とか世間的利害にこだわりやすい人間に対して。友人や兄弟や親戚や近所の金持ちは呼ぶなというのです。普通はそういう人々を呼んで、人は自分の社会的立場や地位を確かめるものです。しかしそういう人々を呼ぶと、きっとその人たちはいつかお返しをするだろう。そして他の機会にあなたを招くだろうからというのです。これはわたしたちには妙な理屈に聞こえます。そんなこと当たり前ではないか。そのようにしてこそ持ちつ持たれつする立派な社会生活が成り立つのではないか、と反論したくなります。それに対しイエスは、人を招くときには利害関係の全くない人を招きなさい。貧しい人、身体の不自由な人、足の不自由な人、目の見えない人を。こういう人たちならば、お返しされることも全くないというのです。

　これはわたしたちの日常生活に適合するあり方では全くありません。そんなことをすれば、その人の信用は全く地に落ち、人々の侮りを買い、まともな生活ができなくなるでしょう。主イエスは食事の席であくまでも「たとえ」を語られたのです。食事の席での礼儀作法を教えようとしておられるのではありません。招待を受けた客が上席を選ぶ様子をみて、その人々の普段のものの考え方や他者との関係のあり方を見抜いて、信仰を持って生きて行く上で彼らに必要な言葉を「たとえ」をもって語りかけられたのです。

　このたとえは信仰生活をする上で大切な根本的な精神を言おうとしているのです。この言葉の根底にはイエスご自身のこの世での生き方があります。イエス様は神です。神が人となった方です。神さまは、何のために人となって、わたしたちのところに来られたのか。それは神の子である自分の立場を捨ててわたしたちと同じ罪人、神さまとの関係が絶たれてしまって、神さまとの間が断絶してしまっているわたしたちと同じ立場に立ち、最も卑しい十字架の死を選び、神さまから離れてしまっているわたしたちを神さまの救いの恵に招いてくださっているイエスご自身のことを言っているのです。そして神さまの救いの恵みに基づいて、わたしたちが神の救いの恵みに与ってどのように生きるのか、そのあり方を言っているのです。

　わたしたちは、人間同士の外面的、あるいは表面的なつきあいよりも人間的に真実な関係を重んじなければならないように、それ以上に神との関係ではより真実な関係を求められます。わたしたちは自分の正しさや立派さを神の前に持ち出すことはできません。神の前ではわたしたちには序列はないのです。わたしたちは一人残らずすべての人が神との関係を回復するためには、神のものとされていくためには、神の憐れみと無条件の救いの恵みに頼り、与る他はないのです。しかしユダヤ教の律法学者やファリサイ人たちは自分は神から選ばれ招かれて当然と思い高ぶっていました。そしてここに、その彼らから捨てられ、嫌われた、罪人、徴税人という自分に全く頼ることのできない人々、自分たちは神から裁かれて当然な者と思いながら、神の救いの招きを諦めている人々がいます。このたとえはこうしたことが背景になっています。この人たちは神との取引、駆け引きとか、交換条件とか、自らの霊的な土台とか神の前に正当性が一切ない人たち、ただただ神の憐れみにだけ頼り、神の前に自分を主張できる何物も持っていない人々でしたし、そのことをはっきりと認識していた人々でした。当時は貧しいとか身体の病気や障害などもその人の罪の結果だと一般には考えられていました。神さまはこうした捨てられ、疎外された人々を招こうとしておられることを示しておられるのです。

　この譬えを更に徹底化したものが１５節以下です。ここではイエスと父なる神は、すべての人を神の国の大宴会に招かれています。ところがそれを断り、いろいろと弁解をするのです。畑を買ったとか、結婚したとか、それぞれはもっともな理由で、理由それ自体は責められるべきものではありませんが、要するに神の国に招かれるよりも自分の身近な利害を優先させるのです。彼らはイエスの言葉、その招き、自分が神から離れてしまっている罪を認め、神の赦しを受け入れることを、いろいろな理由を付けて渋り、結局は断るのです。それを招きへの失礼、無礼とは思いません。自分を弁解し、自分を正当化します。信仰と言いながら、実際は自分の力や都合で生きることを選び、神の憐れみと赦しによってのみ生かされることを拒絶し、心を閉ざすのです。これがわたしたちの現実なのだとこの譬えは言っているのです。そこでイエスは、人が招きに応じないのならば、こちらから出かけて行って、貧しく、不自由で、罪深いことをしている人々を連れて来いと言われるのです。それらの人々とはユダヤ教の律法学者やファリサイ派の人々から罪人と軽蔑されている人々を指していることは明らかです。それでも席はたくさん空いているのです。さらに主人はどうしてもこの空席を埋めようとなさるのです。そして通りや小道から無理にでも連れて来いというのです。それが選民のユダヤ人ではなく、外国人を指していることはいうまでもありません。無理にというのは、家なく土地なく、町の周囲を巡らしている城壁の外に暮らしている人々は、招きに相応しくないことを知っているので入って来る勇気がないからです。

　この譬えでルカ福音書は、イエス様と父なる神様はこのようにわたしたちを救いに導いてくださっているのですよと、聞いている人々に向って訴えているのです。このように神さまは、救い主イエス様は、自らを低くして十字架にかかってまでわたしたちを選んでくださり、救いに導いてくださったのだ。だからわたしたちもイエスさまの前に自分を空しくし、低くし、感謝して自らを無条件の神の愛に委ねて行かなければならない。そうすればこの世の生活においても決して世間的な名誉や面子や、世間体を第一とし、それにこだわり、それにとらわれて、いじましく生きたり、また人々を見下したりするような、自己に囚われた生活から解放されるだろう。もっと自由でユーモアに満ちた、そして誠実で他人の痛みを知り、共感する生き方ができるであろう。それが恵みの座につくということであると示されているのです。

　主イエスが語られる恵みの座、そこに座るように招かれる「へりくだる者」は、高められることを期待して待つようにへりくだっているのではありません。「神様、罪人のわたしを憐れんでください」と祈る他はなかった一人の礼拝者のように（１８章１３節）神の憐れみのもとに、自ら座すべき低きところを知らされたのです。

　神の憐れみと愛の業のもとでは、人はへりくだる他はないのです。神の恵みの御言葉の輝きのもとで、自ら座すべき所に座して祈り、礼拝を捧げることができることは、神に形創られた者として、魂の喜びがそこにあるということです。人は自我と自己肯定に囚われ、その罪深さ故に、神の恵みの輝きのもとで自らが居るべきその座を見失っているのではないでしょうか。

　主イエスはわたしたちに先だってそのことに気づき、わたしたちの立ち戻るべき居場所を取り戻してくださろうとしておられるのです。その座は、直ぐに立ち去って上座に移されるような仮の座ではなく、わたしたちの魂があるべき座として、神からの平安を取り戻して落ち着くことが出来る座であります。そのようなところに座して「へりくだる者」となり続けるように、主イエスはわたしたちを招いておられるのです。

　主イエスが招いてくださるその低さにおいては、上席と末席との違いのような意味で、高められることが喜びなのではありません。むしろ自分があるべき低きところから、神の憐れみの高さを見上げて礼拝を捧げることができる喜びであります。その喜びはまた、驚くべきことにわたしたち自らの低きに共に立ってくださる主イエスを知るよろこびでもあります。その喜びに生きることに優る信仰の報いはありません。

　わたしたちが座すべきでありながら座することができないその低さ、つまり裁きの座に主イエスは代わって身を委ねて座してくださるためにこれからエルサレムへ赴こうとしておられる。わたしたちにはそうしていただく何の資格も値打ちもないのにです。それが恵みの座なのです。主の名によって礼拝を捧げることができることそのものが「へりくだる者」の恵みに生きる喜びなのです。主イエスはその喜びにこそ、ここで、招こうとしておられるのです。招いてくださる主イエスの御手は、両手が広げられて下ろされ、手のひらがわたしたちに向けられています。その広げられた主イエスの御手には、わたしたちのために低き裁きの座に立ってくださった傷痕が刻まれています。
　
　お祈りします。

　神さま。人々の中でわたしたちが自分のいる場所を求め、人々との交わりを進め、広め、高めようと、あくせくと心を遣いますけれども、願わくは、主イエスが御自ら示してくださいましたように、わたしたちが人の誉れを気にするのではなく、また人からの報いを期待するのでもなく、ただ神さまのお喜びになること、主イエス・キリストがわたしたちのためにしてくださった愛と恵みに拠る救いの業を基準として、自分自身の生きる姿勢を整え、生きる場所を定めていくことができますように、わたしたちを導いてください。あなたの憐れみと愛の前にへりくだって、ただただあなたの恵みの業に信頼して自分のすべてを委ねて行くことができますように信仰を与えてください。

　主イエス・キリストの御名によってお祈りいたします。　　　アーメン。

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「癒やされ、神の国に招かれる主」ルカ13:10-17
2022.8.21　大宮陸孝牧師

主イエスはその女を呼び寄せ、「婦人よ、病気は治った」と言って、その上に手を置かれた。（ルカによる福音書13:12-13)

　主イエスが安息日に会堂で癒やしの業をされる記事は、共感福音書では様々な形で記されておりますが、本日のルカ福音書にある記事は他の福音書にはないルカ特有の記事です。本日の日課の前のところでは、主イエスは、主として弟子たちに、さらに群衆にも、迫りつつある神の審きと悔い改めを語り、日課の後では、「そこで」という本日の日課を受ける形で、主イエスは神の国のたとえを語られています。つまり本日の日課が伝える主イエスの癒やしの業こそが、神の国の到来の証しであることを伝えようとしているとみることが出来ます。

　そのように捉えて本日の日課を読みますと、エルサレムへ向かう決意を固められて、主イエスが再び会堂に入り安息日に癒やしの業をなさったことは、終末に至る危機的なこの世の状況を前にして、その状況の中に生きているわたしたちすべての者に、神の国が、目立たない小さな出来事であるにしても、主イエスの業を通して確かに始まっていること、それだからこの主イエスのわざと言葉に目を注ぎ、信じて歩むべきことをルカは主張しているのだと言うことができます。

　１０節～１１節ではふたつのことを完結に言います。ひとつは主イエスが安息日に会堂で教えておられたこと、もう一つは、癒やされた女性の様子です。安息日の会堂がガリラヤで始まった主イエスの宣教の主な舞台であったことが４章１４節以下を読みますと明確です。しかし、そこでは、ファリサイ派などとの対立の場ともなったことが６章６節以下、１２章１１節以下で示されています。そしてエルサレムに行く決心を固めた後に、再び会堂に赴く主イエスをルカが伝えるのは、本日の日課が最初で最後でもあります。１４章１節以下の癒やしは、安息日ではありますが、会堂ではありませんでした。

　癒やされた女性については、「腰が曲がったまま伸ばすことが出来なかった」こと、その状態が「１８年間」も続いていたこと、そしてそれは、身体的な問題だけではなくて、「病の霊に取り憑かれている」と見做されていたこと、当時の人々がそのように見ていたのであろう、ルカもそのようなものとして紹介しています。

　１２節～１３節で、この女性と主イエスとの出会いは、主イエスが彼女を「見て呼び寄せ」たところから始まります。この女性を見て主イエスのほうから近づいて行ったのではなく、彼女を自分の元に呼び寄せ、彼女を招き、集まっていた人々の前で彼女を自分と結びつけられる。この女性をそのような位置に置くことは、社会の内部での彼女の回復を象徴するものとしての意味を持っていると見ることができます。「婦人よ、病気は治った」この治ったの元々の意味は「解放されている」です。一般的な意味では釈放するとか、自由の身にするという意味で使われます。癒やしの場合には、「病の霊」の束縛からの解放であります。「あなたはあなたの病弱さから解かれた」のです。癒やされた女性の様子は、彼女が病気であった状態とは正反対の言葉で描き出されます。「たちどころに腰がまっすぐになり」癒やされた女性は、主イエスの業において「神を賛美した」のです。

　１４節ここに登場している会堂長はパリサイ派や律法学者と同じ姿勢で主イエスの行動を監視し、律法を守っていないとして「腹を立て」ますが、厳密な意味での律法解釈を問題にしているのではなく、当時のユダヤで、安息日の遵守は、割礼とともに、ユダヤ教の宗教的・社会的アイデンティティー維持のために特に重要視されていて、とにもかくにも「安息日はまかりならない」ことをした主イエスの業は神の意志ではないという主張をしているということです。注意を払わなければならないことは、これらの言葉を、会堂長は、直接「群衆に言っている」ことであります。群衆に訴え、味方につけようとしたということか、それとも　イエスの行為を容認しあまつさえ期待し、律法の労働禁止を軽んじている民衆を責めたということなのか、どちらにしても、会堂長は、律法の権威によりイエスを審こうとした。主イエスの癒やしの業も、会堂長とのやりとりも公然と行われたものであることを示しています。

　１５節～１６節ここで注意しておかなければならないことは、ルカが、イエスを「主」と呼んでいることであります。会堂長がイエスを審いているその場面で、ルカは神の子イエスこそ律法の真の「主」であると主張しているのです。律法の真意、つまり神の御心は何処にあるのか、それを明確にするためにイエスは、安息日にも家畜の世話を許している習慣を引き合いに出すのです。確かに安息日はいかなる仕事もしてはならなかったのですが、人にせよ、家畜にせよ、命にかかわることは別で、助けることが優先されていました。（１４章１節～６節参照）牛もろばも水がなければ生きていけない。その意味で安息日でも家畜の世話をすることは許されていました。それゆえに、安息日に一人の女性を癒やすことは、少なくとも違法なことではない。問題はその命の緊急性にある。

　イエスによれば、安息日でも家畜を飼い葉桶から「解いて」やるのなら、ましてや同じ神の民である「アブラハムの娘」であって、１８年間も病で苦しんで来た女性を今すぐにでもサタンの束縛から「解いて」やるべきである。今日でなく明日でよいというのは、神の憐れみから遠いことであり、「偽善」以外の何ものでもない。命の抑圧と束縛からの解放こそ救いであり、神の民としての共同体の一員としての回復である。この人間全体のあらゆる束縛からの解放と復興こそ、律法の真の目標であり、神の国の実現にほかならないとイエスは主張しているのです。

　１７節この主張によって、会堂長と彼と一緒になってイエスの権威に挑戦し、失墜させようとした反対者の試みは失敗し、群衆はイエスによってなされた「数々のすばらしい行い」（４：１６～３０参照）を見て喜ぶのです。群衆は、愛の神は安息日にこそ人々を招き人々の救いのために働き、人々の魂を配慮し、人々を生かそうと奉仕しておられるのを見て喜んだのです。日曜日の礼拝は神が御言葉によって人々に仕える日となったのです。

　この後に続く二つのたとえも会堂におけるイエスの活動を、神の国の宣教として明らかにしています。神の国とは「場所や領土の意味ではなく、神が王として恵みと愛の力をもって支配されること」であります。旧約聖書においては、王としての神の恵みと力は、出エジプトの出来事で、奴隷からの解放と救いの働きとして、また民の中の弱者への憐れみとして顕されました。そして、新約聖書では貧しい者、病人や悪霊に憑かれた者を憐れみ深く顧みられ、癒やされる主イエスの業とことばにおいて明らかに示されました。主イエスの力とは、罪の束縛からの解放と回復ということでありました。

　今、わたしたちは改めてカルト宗教と「家族の救いと癒やし」の問題に直面しています。カルト宗教の持っている具体的な問題が社会問題化しています。「カルト」という言葉は、皆さんよくご存じだろうと思います。二十数年前オーム真理教事件によって、一躍「カルト」問題がマスコミに取り上げられました。この「カルト」問題は、多くの日本の人々を宗教嫌いにしたと言われています。このカルトは、霊感商法でやはりマスコミを賑わした「統一教会」、輸血を拒否し、幼い子供と一緒に軒並み訪問伝道して廻る「エホバの証人」や、最近では得体の知れない新興宗教が数多く出現してきています。

　「カルト」という言葉は、もともとは「礼拝、儀式」を意味する言葉だったと言われます。あるいは、「古い宗教に対立して起こった新しい宗教」という程度の意味で使われていたようです。この意味では、キリスト教も二千年前にはユダヤ教に対して立派なカルトだったということになります。英和辞書を開きますと、「祭儀、礼拝式、崇拝、謳歌、熱狂、異教、祈祷療法、新興宗教、セクト」などとなっていて、時代を追って極端な熱狂的傾向に走って行く様子がうかがえます。もうひとつ「オカルト」という言葉があります。これは、「神秘、魔術、魔法」というように訳されます。オカルトの「オ」は接頭語で「覆う、隠す」という意味を持っていて、「カルト」を隠す、覆うという、いわゆる神秘宗教化して行くことを意味する言葉となりました。

　現代の宗教現象である「カルト」あるいは「オカルト」という言葉は、破壊的あるいは反社会的な宗教集団や、場合によっては宗教以外のグループ、自己啓発セミナーとか○○カウンセリングといった集団を指すようになってきています。「破壊的カルト」とは、どういう宗教または団体なのかと言いますと、簡単に言いますと次の三つの意味で破壊的内容であり、反社会的活動であるということです。
一、信者本人の人格破壊
二、信者と信者の家族との間の破壊。それは家庭崩壊の原因となります。
三、信者と社会との関係破壊、社会からの離脱
それにさらに付け加えて申しますと、より根本的で深刻であるのが神との関係の破壊です。
そして、そのような破壊性をもたらすものとして重要な役割を果たすのが「マインド・コントロール」と言われるものです。

　本日の聖書の日課を読みますと、まさに２０００年前の「家族の救いと癒やし」と破壊的カルト宗教からの解放のために書かれたと申し上げても過言ではありません。

　「カルト」が破壊的カルトとして、一切の関係を破壊し、命を傷つけ、むしばんでいるのに対して、主イエスがなされていることは、真の癒やしと救いであります。カルトの関係破壊と正反対です。
一、信者本人の人格を建てあげる。人格破壊ではなく、神との関係で新しく創り上げられるのです。再創造の恵みです。
二、家族関係の再構築です。破壊ではなく、愛をもって仕え合う。そこには、家族としての絆を深め、愛と喜び、感謝があります。多くのカルト宗教が分裂と孤立を深めていくのに対して、キリストにある家族は高め合い、関係の広がりがあります。
三、主イエス・キリストにある個人は社会に対しても責任を持ちます。世の光、地の塩として、神の愛、キリストの恵みを社会に向かって共に分かち合うのです。そして、そこには強制や抑圧はありません。自発的、自由意志をもって神と教会に仕えます。奉仕するのです。神のわたしたちを生かす愛の奉仕に応答して行くのです。

　本日の日課に戻ります。この女性は主イエスの憐れみの眼差しに捉えられます。主イエスは彼女の罪の悔い改めを迫るということではなく、むしろサタンに縛られている女性への憐れみと恵みの眼差しを通して神の愛の支配下に置かれたのです。エフェソの信徒への手紙に次のような言葉があります。「いろいろな働きをする神の知恵は、今や教会によって、天上の支配や権威に知らされるようになったのです。」（３：１０）この「天上の支配や権威」とは「天にいる悪の諸霊」（６：１２）でもあります。つまり神の知恵は教会の宣教の言葉によって、わたしたちに見えない力、今の世を覆い支配する「闇の力」（ルカ２２：５３）に対しても知られるようになるということです。福音の説教はそれらの世にはびこるもろもろの悪に対する神の知恵の対決であり、勝利の証しでもある。この世的な支配や権威の束縛から人々を現実に解き放つ神の言葉の力なのだと宣言しているのです。

　実はこの会堂長も、主イエスによって解放されなければならない人間の一人であったのだとわたしは思います。会堂長は会堂の礼拝を司り、その建物や施設の管理をする仕事に当たっていました。そしてファリサイ派の人々や律法学者と同じようにイエスの行為を監視していました。この会堂長の目にこの腰の曲がった女性が見えなかったわけではなかったでありましょう。同情もしていたと思います。また安息日でも命にかかわるような場合には癒やしてよい、助けてよいということも、充分に知っていたはずです。しかし彼には、この女性が、「安息日」であっても、今すぐに癒やされる必要のある存在とは見えなかった。彼の目は愛に曇っていたということであります。

　何が彼の目を曇らせていたのか。ルカはそれを偽善と見ています。ルカにとって偽善とは、自分の目の中の丸太を見過ごしながら、兄弟の目のおが屑を見つけ出し、取らせてくださいと言う者たち、そしてファリサイ派の人々のパン種は偽善であると指摘しました。自分のことをさておいて、他人の咎を許さない、これがルカにとっての偽善であります。この偽善が、女性の困難な現状を見えなくしている。とルカは見ているのです。会堂長はその偽善の故に律法の字面に惑わされてその目指す本質に思いが至らないのです。

　会堂長に主イエスの問いかけが響きます。「安息日に律法で許されているのは、善を行うことか、悪を行うことか。命を救うことか、滅ぼすことか」（６：９）「安息日の主」であるイエスの思いは、律法の目標とするところ、つまり、神の愛と憐れみの御心に支配されていました。「今でなくてよい」のではない、今、ここで世界のすべての人を救おうとしておられる神の思いが明らかとなっています。そして、わたしたちを救おうとする神の思いが明らかになったとしても、わたしたちの思いがストレートにそこには行かないというのもわたしたちの現実です。わたしたちが神の思いに全面的に支配されることを阻むもの、それこそわたしたちの罪であり、むしろその罪がわたしの中に住んでいることが明らかとなります。ここでルカは神の国の到来を宣教しつつ、それを拒むわたしたちの罪を厳しく指摘し、それにもかかわらず神の国は確かにここに始まり、大きく成長し、世界を大きく変えていく神の業はエルサレムでのイエスの十字架の死と復活に於いて頂点に達し、神の国を拒んだ人の罪をも購い、それゆえに会堂長の罪も購い、彼らをも神の国に生きる者としてくださるのです。この約束は、主なる神の恵みの招きに、悔い改めて答えて行くすべての人に与えられているのです。

　お祈りいたします。

　神様。わたしたちは人生の中でままならないさまざまな悪しき力の中に束縛されております。その深刻な罪の束縛の中で滅び行くほかないわたしたちをあなたは憐れみを持って顧みてくださり、イエス・キリストを通して自由と平安の世界へ解放してくださいます。

　わたしたちがそのあわれみと恵みの救いの業を喜んで受け、あなたの恵み深い救いの業の故に、あなたに感謝し、あなたをほめたたえる者とならせてください。わたしたちの信仰の歩み通して、あなたの憐れみと、救いの恵みが社会のさまざまな局面に豊かに広がって行きますように、わたしたちをあなたの愛のわざに応答して行く者とならせてください。

　主イエス・キリストの御名を通してお祈り致します。　　　　アーメン

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「神の愛と恵みの内に一つとなる」ルカ12:49-53
2022.8.14　大宮陸孝牧師

「わたしが来たのは、地上に火を投ずるためである。その火が既に燃えていたらと、どんなに願っていることか」（ルカによる福音書12:49）

　神の救いの業は主イエスの十字架の贖いによって、わたしたちを無条件で神さまのものとしてくださるこということで、その神様の救いの働きがすでにこの地上で始められているのです。その神さまが人間を救済する恵みの働きに対して、わたしたちはいつでも、その神さまの働きを信じるか信じないか二つに一つの決断を求められます。そして決断をしてこの信仰告白の中で生きる者とされた信仰者の歩みと、依然として神から離れたまま自己中心、自己目的に生きる者との間には大きな違いが生じて行くことが、ここでは分裂として教えられております。

　主イエスに従う弟子たちに、その信仰と服従に伴う危険、覚悟を訴えて決断を求められます。その背景には、初代教会の信仰者への激しい迫害と弾圧があったということを物語っています。迫害されても、また弾圧され、耐え難い拷問を受け、激しい痛み、傷を受けて、ついには死に至ることになっても、信仰を捨てないで、むしろ雨後の筍のように信仰者が増え続けていく。そうまでして信仰を守り、信じていくことにどのような秘密があったのでしょうか。人間は苦難や試練を受けると、挫折し、絶望に陥ってしまうのではない。そこから立ち上がっていく希望と勇気をもたらされていく、真の信仰にはそのようなキリストの力、不滅の教えがあることを示されています。

　本日の日課の前の３５節から４８節まででは、〝主人が思いがけなく帰って来た時〟それを待つ僕たちの中に二つの全く違うあり方が描かれております。４３、４４節の〝全財産の管理をゆだねられる幸いな僕〟と、四六節には〝厳しく裁かれて不信仰な者と同じ扱いを受ける僕〟とにはっきり二分されるという、この分裂が起こる〝主人の帰りの時、終末の時〟ではなくて、本日の日課のところでは、主イエスが現に地上におられる「今」ここで起こる「分裂」、の問題を取り上げておられます。

　４９節「わたしが来たのは、地上に火を投ずるためである。その火が既に燃えていたらと、どんなに願っていることか」。地上に火を投ずるために来たイエスは、この火がこれから盛んに燃え上がってくれることを願っておられるというのです。この「火」というのは何を意味しているのかと言いますと、この文章はルカ福音書だけの独特な文章でありまして、第二巻続編の使徒言行録で記していますあの五旬節の日、一同が集まっているところに炎のような形で聖霊が降ったという、あの聖霊をたとえていると見るのが正しいと思います。実際にルカ福音書３章１６節で、バプテスマのヨハネがイエス様の到来を予告致しました時、「その方は、聖霊と火で洗礼をお授けになる」と言っております。ですから、聖霊と「火」というのが実は同じことなのだと解釈できるからです。と同時にこの３章の所をもう少し注意深く読みますと、「その方は、聖霊と火であなたたちに洗礼をお授けになる。そして手に箕（みの）を持って、脱穀場を隅々まできれいにし、麦を集めて倉に入れ、殻を消えることのない火で焼き払われる」とありますから、「聖霊と火による洗礼」というのは、一方の人たちは救われ、他方の人たちは滅ぼされるという、ふるい分け全体を表していると解釈するのが正しいと思います。ここで言われます「火」というのも、ただ単に焼き尽くす火というよりも、〝精錬の火〟であり、救いと裁きを同時に行っていく業ということになります。

　５０節「しかし、わたしには受けねばならない洗礼がある。それが終わるまで、わたしはどんなに苦しむことだろう」と、イエスがこれから受けなくてはならない受難・苦難を「バプテスマ」と言われているのですが、ここで「苦しむ」と訳されております言葉は、もともとは「共に持つ」という複合動詞で、「壁で囲まれてしまう」という〝取り囲まれたり取り巻かれたりしている〟という意味と、そこから「虜にされる」「捕虜になる」という二通りの意味を持っています。これは、たとえば使徒言行録の１８章５節のところで、コリントにおりましたパウロのもとにシラスとテモテがマケドニアから献金を携えて来ますと、もうパウロは天幕造りのアルバイトをやめて、「御言葉を語ることに専念した」と訳されています。この言葉です。「取り囲まれた」あるいは「虜にされている」という同じ言葉を使って、「専念する」と訳しているのです。ある事柄に没頭し切っている。ある事柄に自分の全生活が取り囲まれ、虜にされて、他のことができないと言う状態を表します。逃れようのない苦しみや痛みに喘いでいるのではなくて、主イエスは、人間が本当に救われるときまでわたしはこの問題に没頭している、専念しているこう言いたいのであろうと思います。（新約２４９頁）

　そこで、続いて５１節からですが、「あなたがたは、わたしが地上に平和をもたらすために来たと思うのか。そうではない。言っておくがむしろ分裂だ」。たとえばルカ福音書一章で、バプテスマのヨハネが生まれました時、父ザカリヤは〝この子は預言者になる〟と言って、さらに、１章７８節「高い所からあけぼのの光、つまり救い主がわたしたちを訪れ」、そして７９節「暗闇と死の陰に座している者たちを照らし、わたしたちの歩みを平和の道に導く」、このように救い主の働きを語っておりますように、ルカは始めから、イエス・キリストが「地上に平和をもたらすために来」られたということをずっと言い続けて来ているのです。ですから、クリスマスの夜、ベツレヘムの野原で野宿していた羊飼いたちに天の軍勢が賛美の声を上げて、「いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心に適う人にあれ」とこう言ったのです。（２：１４）ですので、イエスが、「地上に平和をもたらすために来られたメシアであるということ、このこと自体は間違っているのではありません。

　ただ、あなたがたの考える平和とは種類が違うとイエスさまは言いたいのです。「わたしが地上に平和をもたらす」というところを、マタイ福音書の日本語訳では同じ「もたらす」となっていますが、ここは「投じる」、さっきの「火」と同じで、「投げ込む」という言葉を使っています。わたしが、まるで地上に平和をぽんと「投げ込ん」で、そしたら平和になるというように安直に自動的に訪れる平和、そういうものを持って来たと思うのか。そうではない。むしろ、まず「分裂」があって、その分裂の後に、それを癒すような本当の「平和」、これが、イエス・キリストのもたらす「平和」であると、こう言いたいのです。

　この、むしろ「分裂」が先に来るということを、５２節以下で更に説明しているのです。「今から後、一つの家に五人いるならば、三人は二人と、二人は三人と対立して別れるからである。父は子と、子は父と、母は娘と、娘は母と、しゅうとめは嫁と、嫁はしゅうとめと、対立して分かれる」（５２～５３）５２節と５３節の最後に「対立して分かれる」と同じ言葉が二度出て来ます。５１節の最後にある「分裂」という名詞、これが動詞のかたちで言われているのです。ここは旧約聖書のミカ書の７章６節を引用しているのですが、ミカ書の引用文の前後では、「隣人を信じてはならない。親しい者にも信頼するな。お前のふところに安らう女にも、お前の口の扉を守れ」。「人の敵はその家の者」になる。こういう趣旨であります。人間的・地上的にはいちばん心が許せる、いちばん信頼できる、いちばん話しやすい者たちの間にも敵対が起こり、油断がならないという、そういう「分裂」が始まるというのです。　そういうことですから、１４章２６節「もし、誰かがわたしのもとに来るとしても、父、母、妻、子供、兄弟、姉妹を、さらに自分の命であろうとも、これを憎まないなら、わたしの弟子ではありえない。このように言われる状況が起こることが予見されているのです。ここに言われていますように、イエス様に従う信仰者が教会の群れを形造る際に、イエス様が在世中にも、後のキリスト教会の時代にも、現実の厳しい試練の中で、一つの家族の中で夫が去る、妻が去る、こういう「分裂」は実際に起こって行くことになるというのです。

　家族がばらばらになっていく、そんな宗教は必要ないと指摘する人が出てくるでしょう。家族をまとめ上げ、家族の絆を強くし、愛を増し加えていく、それが家族の役割であり、家族の喜びです。肉親の愛です。確かにそうです。その家族の愛を軽んじ、家族の喜びを奪う事を言うキリスト教をどうして信じるのか？それは誤った教えではないのか？そのような糾弾の声が上がってくるかも知れない。それに対して主イエスはわたしたちの人間同士の関わりに、変えていかなければならない本質的な問題があることを言われているのです。家族が分裂し、崩壊していく現代の問題でもあります。夫婦の離婚、そして不倫、子供の虐待、子供の非行や犯罪などによる家族崩壊が増大しています。そこには、愛の欠如が見られます。愛を求めているのに、満たされない。愛が与えられないことによる子供の犯罪への傾斜があります。そこには自分を守ってくれる大人、愛してくれる大人を知らない小さい魂の悲しみ、叫びがあります。そしてわたしたち大人も、真実の愛と保護を知らないのではないか。いつも真実に生きることから逃げていて、向き合おうとしないことがあるのではないか。どこかで生き方を変えないとこれから先ますます断絶が深くなっていくだけのことではないだろうか。イエスの預言とは関係なく、この世はすでに不信と断絶の世の中です。この世は荒れすさんでいます。そのような厳しいこの世の罪の現実の中にキリストは真の交わりの回復のために、人間を罪の現実から分断して真の愛と命をもたらすために来られたのだということを言おうとしているのです。

　イエス・キリストは「火を投ずるために来られた」のでありますから、「分裂をもたらすために来られた」のでありますから、「火」であるとか「分裂」とかいうものが「今から後」起こる。とはっきり言われています。終末・終わりの時を待つまでもない。神の恵みに立って新しい本来の人間としての生き方をしようとすれば、今までの価値観や生き方と本質的に違うのですから、分裂は必然的に起こると言っておられるのです。

　「今から後」、一方で主イエスは、苦難の「バプテスマ」を成し遂げるために専念、没頭して行かれます。主イエスのこの世での生涯の終わりは、人々の嘲笑と侮辱と辱めの中で、そして愛する弟子たちや民衆からも裏切られて、全くの悲惨な孤独と苦悩と恥辱の中で死んで行く有様をルカは伝えています。それは人間の目から見れば、栄光や名誉のかけらすらもない、文字通りの無慙な死でしかありませんでした。人類の救いという神さまのもっとも素晴らしい、輝かしい御業は、人間の目から見れば、敗北としか見えないような苦悩と恥辱に満ちた、イエスの短い生涯を通して実現されたのでした。他方、このイエスをめぐる弟子たち、群衆たちは、同じようにして家庭をも切り裂くような「分裂」を堪え忍んで進んで行かなければならない。この二つは、決して別々のバプテスマなのではありません。「イエスを十字架につけよ、十字架につけよ」と叫んだ世の叫び、これはまた、たとえ家族、親族であろうと同じなのだということです。

　エフェソの信徒への手紙の２章１３節から１８節までを、お読みしたいと思います。（新約３５４頁）「あなたがたは、以前は遠く離れていたが、今や、キリスト・イエスにおいて、キリストの血によって近い者となったのです。実に、キリストはわたしたちの平和であります。二つのものを一つにし、御自分の肉において敵意という隔ての壁を取り壊し、規則と戒律ずくめの律法を廃棄されました。こうしてキリストは、双方を御自分において一人の新しい人を造り上げて平和を実現し、十字架を通して、両者を一つの体として神と和解させ、十字架によって敵意を滅ぼされました。キリストはおいでになり、遠くに離れている人々にも、また、近くにいる人々にも、平和の福音を告げ知らせられました。それで、このキリストによってわたしたち両方の者が一つの霊に結ばれて、御父に近づくことができるのです」

　主イエスの愛にしっかりと結びつけられて、真の和解と命の回復への信仰の歩みを歩んで行きたいと思います。

　お祈りいたします。

　神さま。あなたと共に生きることを潔（いさぎよし）としない、また、あなたが世に存在なさることを認めることができず、その上あなたが遣わされた御子をさえ、〝十字架につけよ〟と叫ぶような、神なき人の世の深い罪を、御子イエス・キリストは御自身、十字架の上で引き受け、血を流してあなたに対する罪を贖って、あなたの怒りと呪いからわたしたちを解き放ってくださいました。この贖いの救いの働きの中で主イエスはわたしたちに、神との平和、神との和解をお与えくださいます。

　わたしたちがこの世の対立と分裂の苦しみを受けることがありましても、それを耐え抜きあなたの救いの恵みを信じる信仰の歩みを貫くことができますようにわたしたちに力を与えてください。そしてあなたが与えてくださった真の平和と平安と喜びを味わうことができますように
　キリスト・イエスの御名を通してお祈りいたします。　アーメン。

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