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1952年宣教開始  賀茂川教会はプロテスタント・ルター派のキリスト教会です。

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牧師メッセージpastor'S message



 「集中して取り組むことの重要性」
 
                      
大宮 陸孝 牧師    


 「わたしは植え、アポロは水を注いだ。しかし、成長させてくださったのは神です。・・・わたしは、神からいただいた恵みによって、熟練した建築家のように土台を据えました。そして、他の人がその上に家を建てています。ただ、おのおの、どのように建てるかに注意すべきです。イエス・キリストという既に据えられている土台を無視して、だれも他の土台を据えることはできません。」  (第一コリントの信徒への手紙3章6節~7節、10節~11節)

 9月になってもまだ暑い夏日が続いています。間もなくやって来る秋の季節が待ち遠しく感じるこのごろです。読書の秋、スポーツの秋、食欲の秋、観光の秋、実りの秋、文化活動の秋、天高く馬肥ゆる秋等々、命の躍動・成長の季節を迎えようとしています。

 第71期将棋王座戦五番勝負は史上3人目となる名誉王座がかかる永瀬拓矢王座と、前人未踏の八冠独占を目指す藤井聡太七冠の歴史的な対決が始まりました。藤井七冠は5歳で祖母に教えられて将棋を始め、小学3年生で全国大会優勝という目覚ましい成長を遂げ、中学2年生14歳2ヶ月でプロ棋士の仲間入り、15歳で公式戦29連勝新記録を達成し、17歳で棋聖のタイトルを獲得、今年度には21歳にして名人を含めて七冠獲得を史上最年少で果たしました。私たちはこの7年の間藤井七冠の驚くべき集中力を目の当たりにして来たのでした。

 藤井七冠は8月24日の会見で王座戦に向けて『八冠挑戦は光栄だが、まだ足りないところが多い。しっかり集中して臨みたい』と気を引き締めていました。人間の成長にとって重要なことは集中力であるということを改めて知らされます。

 「子どもの遊びは子どもにとって仕事だ」などと言われます。子どもの遊びがもたらす意味とは何か?それは暇つぶしではありません。また、ただ面白いことを求めたり、ストレス解消をしているのでもありません。子どもの遊びの意味と遊び方と、それが人格形成に及ぼす本当の意味は、遊びそのものが直接的に生産性と創造性を持っているということだと言うことを私たちは認識しなければなりません。子どもは単純におもしろいことを求めて遊んでいるのではなく、よくよく観察しますと、遊びの中で苦しみを自ら積極的に背負おうとします。なぜ子どもは遊びの中で苦しいことを背負い、困難に挑戦しようとするのか、それは発達・成長という衝動があるからだ、ということです。

 子どもの遊びをずっと見ていると、昨日と同じことはしていない、昨日より上手になろうとしている。昨日よりも発展しようとしている極端に言いますと、さっきよりも発展しようとしている、二度と同じことをしていないということです。絶えず一歩次の段階に踏み出そうとしているということです。木登りをすれば昨日よりも高く昇りたい、上手に昇りたい、竹馬をすれば昨日よりも上手に歩けるようになりたい、すべてにおいて、感覚的にも運動的にも認識的にも知的機能全般においても、いまできないことを絶えず次の瞬間にやろうとしているのです。グループで遊ぶ時でも、自分の出来る中で一番困難な役割を引き受けたがっている。そういう風に子どもは今できる最善の策を、最高の到達点を目指して行動しているのです。ですから子どもは絶えず発達という衝動に駆られて行動している。遊びはまさにそれなのです。私たちはこの子どもの最近接の課題にいつも集中して取り組む空間と時間を保証して行く責任があります。

 次回は発達心理学の発展に大きく貢献した心理学者の一人、ヴィゴツキーが提唱した発達理論の最近接領域や外言・内言等の重要概念を紹介しようと思います。皆さんの日常の他者との関わりに役立てていただければと思います。

                  2023年9月1日
 
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